本研究の目的は、久山町における住民健診の結果から、骨密度と栄養摂取および食物消費構造の影響を横断的・縦断的に検討することによって、骨粗鬆症による骨折、引いては寝たきり予防のための食事性因子を解明し、具体的な栄養教育(指導)対策のための基礎資料を構築することである。本年度の健診は、6月から8月までの24日間で、受診者は男性973名、女性1,302名の計2,275名であった。骨密度の指標には超音波法による音響的骨評価値(OSI)を算出した。OSIを骨粗鬆症財団基準により判定したところ、要精検と判定された者が男性40名(4.1%)、女性453名(34.8%)であった。さらに、Young Adult Mean:YAM70%以下の者に対して骨密度検査に対する受診勧奨を行ったところ39名中/全体の1.7%のうち19名、約49%が骨粗鬆症と診断された(39名中内14名未受診)。この結果に加え、YAM70-79%の者が530名(全体の23.3%)であることも考慮すると骨粗鬆症予防のための基礎資料のさらなる検討が必要である