モデルフレーバー溶液をパウチ(ポリエチレンテレフタレート(PET)/アルミ箔(Al)/ポリエチレン(HDPE, MDPE, LDPE, LLDPE), PET/Al/無延伸ポリプロピレン(CPP), PET/Al/エチレンビニルアセテート(EVA))に充填し,香気成分の内面材プラスチックフィルムへの収着挙動について検討した.
(1) 各香気成分の内容液及び内面フィルムからの回収量を経時的に追跡し,分配比(内面フィルム中の量/内容液中の量)を求めたところ,充填後20日目まではほぼ直線的に増大したが,それ以降はほぼ一定値を示した.
(2) 分配比は官能基の種類によって最も大きな影響をうけた.同族体では炭素数の増加に伴い分配比は著しく増大することを示した.
(3) CPPはいずれの香気成分についてもHDPEより分配比が大きく,香気成分の収着が著しい.
(4) PEではテルペン系炭化水素類,テルペンアルコール類,エステル類,カルボニル化合物の間で分配比にかなりの差がみられるものの,フィルムの密度と各化合物の分配比との間に高い負の相関が認められ,PEの結晶化度が香気成分の収着に大きく影響を与えていることが強く示唆された.
(5) LLDPE, EVAの2種類のフィルムでは,第4級炭素あるいは酢酸ビニルユニットを有していることから分配比とフィルムの密度との間には相関は認められなかった.