我々は, 福岡市在住の女子学生を対象にアンケート調査を行い, 冷え症と身体状況および生活状況との関連についての検討を試みた。その結果, 若年女性層においても半数以上の者が身体の特定の部位 (足指, 足部, 手指, 手部, 腰部等) に"冷え"を自覚しており, 冷えによる不眠をはじめとして, 手足のしびれ, しもやけなどを訴え, 日常生活においてさまざまな支障をきたしていることが分かった。また, 冷え症との関連が疑われる身体的項目のうち体重, BMI, 貧血, 遺伝的要因などについては正常群と冷え症群との間に有意な差が認められた。すなわち, 冷え症群において体重, BMIが有意に低いことが示され, 痩せとの関連が示唆された。また, 冷え症群には貧血が多くみられ, 遺伝的要因としては3親等以内の親族に冷え症が存在する例が有意に多かった。一方, 月経周期やその規則性, および飲酒と喫煙に関しては, 正常群と冷え症群間に有意差はなかった。また, 従来から冷え症の原因の一つといわれている自律神経機能の低下に起因する症状を訴える者も冷え症群に有意に多く存在した。以上のことから冷え症の発症には, 遺伝的要因があり, 体格的には痩せ型が多く, 中高年女性層のみならず, 若年女性層においても決して看過できない問題であることが今回の調査によって示された。