(1) 有色サツマイモ味噌の発酵・熟成による成分変化を解析した.「ムラサキマサリ」のアシル化アントシアニン(YGM類)は発酵・熟成により減少し分解物と思われる非アシル化,またはモノアシル化アントシアニンが増大した.一方,クロロゲン酸は味噌において消失すると共に,カフェ酸が増大していた.YGM類やクロロゲン酸は麹菌による脱アシル化を受け,結果として生じるカフェ酸が味噌に蓄積されると考えられた.市販紫サツマイモ色素にクロロゲン酸エステラーゼを作用させたところ同様の変化が見られ,これらの成分変化におけるクロロゲン酸エステラーゼの関与が考えられた.また,「ジェイレッド」のβ-カロテンは味噌の発酵・熟成において比較的安定であった.<BR>(2) 「ムラサキマサリ」味噌のDPPHラジカル消去活性は市販味噌より高く,また原材料混合物に比べやや上昇していた.On-line HPLC-DPPH法において「ムラサキマサリ」原材料混合物はクロマトグラム全体に活性が分布しクロロゲン酸溶出位置に活性が検出されたが,味噌では活性成分の組成は大きく変化しカフェ酸の比重が増大した.これらのことから,ラジカル消去成分の体内吸収性は味噌の発酵・熟成により変化している可能性が考えられた.