【目的】「すいおう」は、葉や葉柄(葉と茎をつなぐ部分)を食べる新しいタイプのサツマイモ品種である。くせのない良食味を特徴とし、夏場に収穫できる青物野菜として利用できる。また、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養成分に加え、ポリフェノール類、ルテインなどの機能性成分が豊富に含まれるため、機能性食品素材としての利用も期待される。本報では「すいおう」葉の機能性成分に注目し、調理加工による変動を明らかにする。
【方法】「すいおう」葉を用いて4種類の基本的な加熱調理(「蒸す」「炒める」「煮る」「茹でる」)を行い、調理品中の総ポリフェノール量、カフェ酸誘導体総量、トリカフェオイルキナ酸量、ルテイン量を調査した。さらに抗酸化活性の指標としてORACとDPPHラジカル消去活性を調べた。
【結果】各調理品中の成分量(mg/100g新鮮重)を比較すると、総ポリフェノール量は、「蒸す」「炒める」で高く、カフェ酸誘導体総量は「蒸す」で高かった。トリカフェオイルキナ酸量は各調理品間で有意な差がなく、ルテインでは、「炒める」「蒸す」が高かった。抗酸化活性を比較すると、ORACは「蒸す」「炒める」で高く、DPPHラジカル消去活性は「蒸す」で高かった。以上より、「蒸す」「炒める」は、「煮る」「茹でる」に比べて上記機能性成分含量と抗酸化活性を高く保持できる調理法であることが示された。また「すいおう」の調理品は抗酸化活性(ORAC、DPPHラジカル消去活性)を有し、いずれも総ポリフェノール量と相関が高かった(ORAC;r=0.99、DPPHラジカル消去活性;r=0.97)。