大豆はわが国の食品の材料として極めてポピュラーな農産物である。近年,生理機能性成分アントシアニンを含む大豆品種として黒大豆に注目が集まっており,全国の地域食品産業活性化の材料の1つとして期待されている。これまで,黒大豆品種は「丹波黒」に代表されるように,本州,北海道地域で主に開発,生産がなされてきたが,このほど九州地域に適した品種「クロダマル」,「くろさやか」が育成され,新品種として普及が進んでいる。本解説では,発酵食品材料としても期待される黒大豆の新品種育成とアントシアニンを中心としたフィトケミカル定量方法の開発について農研機構での研究開発動向を分かりやすく解説していただいた。