【目的】著者らは先に食物繊維 5 g 入りおからパンを試作し排便との関わりについて検討し,排便回数が増加することを報告した。本研究では,さらにそのおからパンの排便効果を高めるために中医学における便通改善効果のある黒胡麻を添加したパンに蜂蜜を添えたもの(以下試験食)を開発し,そのパンの摂取後の女子学生の排便状態に及ぼす影響について検討した。
【方法】被験者の選定は,排便回数が3日に1回以下を便秘と定義して,本学女子学生57名を選定しランダムに2群に分けて実施した。調査は排便状況調査票と食物摂取頻度調査票を用い,自記入法で実施し,Mann-WhitneyのU検定,χ2 検定により解析した。
【結果】試験食品摂取期間における食物摂取頻度調査の結果では,試験食品摂取群の 1,000 kcal当たりの総食物繊維摂取量の平均±標準偏差は,7.6±2.0 g/日であり,対照食品摂取群は 8.0±2.4g/日であった。試験食品摂取期間の2週間における排便回数の変化は試験食品摂取群 2.00[0.00~2.50]回,対照食品摂取群 0.00[-0.50~1.00]回であり,両群間に5%レベルで有意差が認められた。排便日数では対照食品摂取群の 0.00[-0.50~1.00]日に比べ,試験食品摂取群は 3.00[1.00~3.50]日であり高い数値を示し,1%レベルで有意差が認められた。
【考察】以上の結果より,試験食の排便効果が認められ,試験食は健康増進および便秘改善に効果を示すものと推測した。