遠赤外線放射物体ニューセラミックプレートの調理特性を明らかにするために, 試料甘藷を用いて検討した. 加熱方法は, 放射特性の異なる3プレートを作製し, 加熱条件は同一放射照度6,500kcal/(m^2・h)で焼き操作実験をした. その結果, 放射特性の違いが,食品の調理性に影響を及ぼすことが明らかとなった. つまり, 放射率の低いアルミプレートに比べ, 放射率の高い遠赤外線放射物体のニューセラミックプレート, および高効率放射物体の黒体プレートで加熱した場合の方が調理結果が優れていた. 特に遠赤外線放射特性を持つニューセラミックプレートの調理効果が, 以下のように認められた. (l) 試料甘藷を40分加熱した場合の焼き色は, ニューセラミックプレートの試料が, 上層, 中層, 下層の3層ともに有意に強いことが明らかとなった. (2) 光学顕微鏡で甘藷の組織観察を行うと, ニューセラミックプレートの試料は細胞内のデンプン粒は完全に破壊されて, 内容物はかなり均一になっている. さらに細胞質が膨潤糊化したような組織形態を示し, 細胞の容積は大きく膨潤していた. (3) 試料甘藷を30分以上加熱した場合のテクスチャーは, ニューセラミックプレートの試料が有意に低い数値を示し, やわらかく焼けていた. これらの結果から, 遠赤外線放射特性を持つニューセラミックプレートの放射加熱は...