本研究は「認定こども園の状況に即し、且つ、自己評価と実習評価を兼ね備えた」新たな実習評価票の開発が目的である。当該年度は認定こども園における実習状況の現状把握から実習実施に伴う問題点を探ることを目的に行う。 長崎県幼保連携型認定子ども園において全体の教育・保育課程および指導計画と組織構成等についてインタビュー調査を実施した。この園では総括園長、保育園長、幼稚園長が職務を分担し実習に関して養成校より依頼される実習の内容に準じて従来の実習指導を展開している。幼稚園教育実習は幼稚園部、保育所実習は保育園部が指導内容を担当する。つまり認定こども園では従来型の幼稚園実習や保育所実習の形態で対応している状況にある。そのため実習評価も養成校独自の幼稚園実習または保育所実習の様式での評価票が提示され、「認定こども園の保育者」を養成する実習にはなっていない。養成校が認定こども園での実習の意識をもたなければ園は従来通りの実習を行わざるをえないのである。保育所型および幼稚園型の園もそれぞれの実習を実施するため特別な計画等は見られない。認定こども園の幼保連携型では、新システムにおける新たな幼児保育を模索中であり実習に関する論議に焦点が及ばない状況であることが明らかになった。 調査園では保育所実習受け入れに際して保育所実習の指導に関するミニマムスタンダードベースの指導内容の明確化を求める意見があり、保...