傷害の構造を事故の発生から傷書の発生までに至る時空間軸で整理し,それを統合して,人間の行動から細胞損傷までを紡ぐ重症頭部外傷の統合的研究について紹介した.人間-もの-理境が複雑に絡み合いかつ多様な生活環境内に潜在する傷害のメカニズムを明らかにするためには,傷害の時空間軸を統合した評価を行うとともに,それが実際の症例を説明可能でなければならない.著者は,事故発生前の回避行動から組織変形までの人間モデルを構築し,それを多分野連携の取り組みで収集した実症例のメカニズム解明に活用しつつある.本稿では傷害の時空間構造をつなぐ傷害バイオメカニクス研究とその応用について紹介する.[figure]