著者らは青年期発達障害者を対象にロール・プレイングや動作法を活用したアクション・メソッドによる対人交流支援グループを定期的に継続開催している。しかし新型コロナウィルス感染症が蔓延していた時期は、対面実施が困難であったため、Zoom
でオンライン実施した。 そこで本研究は、対人交流の円滑化を目的とするグループで、オンライン開催にどのような有効性と課題が見られるのかを検討した。小グループのワークには適宜ブレイクアウトルームを使用し、活動内容には、会話によるゲームや視覚的に提示したテーマで役割演技を取り入れた。その結果、課題として、参加者の個別的な気分の変容・情動に即時的に対応することの難しさ、セッション中に家族と独立してた空間での参加、偶発的な通信トラブルが生じる可能性が見られた。その一方で参加者は、自宅からの参加による安心感や画面内の情報に注目しやすいこともあり、他者との積極的な会話や役割演技を楽しむ様子が実際の参加状況と参加者アンケートから認められた。したがって、間接的なオンライン実施によるグループ開催であっても参加者にわかりやすく興味を高めるテーマ・提示の工夫により、対人交流を促進する支援になり得ることが示された。