大学時代は、親からの精神的自立に伴い、その行動に責任と自由を得るが、それゆえに試行錯誤を経ながら、実質的な社会的自立にむけ、将来のキャリアに道筋をつけるときである。その中心となるキャンパスライフは多様な人との関わりにより、まさに青年期の心理的成熟を支える土壌となることが期待される。しかしコロナ禍にあっては長い自粛生活となり、対面による他者との交流が大幅に制限されていた。そこで本研究はそうしたコロナ禍のキャンパスライフを経験した学生を対象にアンケート調査を行い、どのようなストレスを感じていたか、どのようにその時を乗り越えていたかについて調査した。その結果、多くの学生が終わりの見えない自粛生活の中で行動制限や感染の不安に少なからず強いストレスを感じていたものの、SNS等で積極的に仲間とつながり、そのときの思いを共有することで支え合うというレジエンスを発揮していることが示された。その一方でそうした仲間づくりが難しく、必要以上にSNSの偏った情報に振り回されて不安を高めている学生の存在も懸念された。そのため孤立した学生が確かな情報で正しい知識が得られ、安心して悩みを話せるようなキーパーソンのいる心理的居場所がキャンパスライフの中に位置づけられることが求められると提言された。