日本の大学、短期大学の食物栄養学系学部・学科・専攻は、食と栄養のエキスパートを養成する教育課程であり、卒業後は、主に栄養士として保健・医療・福祉の分野で活躍するほか、大学や研究所に所属して教育研究活動に従事する者、教職を修め家庭科の教員になる者、食物栄養学の知識をいかして食品産業に就職する者など、多様な分野で活躍している。他の学科、専攻の学生と比較した食物栄養系の学生の特徴として、職業に対する明確な意識を持った学生が多いことが挙げられるが、英語学習者としてみると、管理栄養士試験に英語科目がないこともあり、英語に対する学習意欲や習得レベルに個人差が見られる。日本各地の地域社会で外国人居住者が増え、保健、医療や福祉、教育・研究の現場が国際化しており、他の業種同様、今後は栄養士も「仕事で英語が使える」能力が要求されることが想像される。たとえば、入院患者、保育園・幼稚園の保護者、企業の研修生などが日本語話者でないため、共通のコミュニケーション言語として英語を用いて栄養指導をするといつた会話レベルのものから、海外の先進的な知見を得るために英語論文を読む、国際学会に参加する、といった研究目的のレベルのものまで、多様なニーズが考えられる。発表者は「国際化する地域社会に貢献する栄養士の養成」を目標に、食物栄養学科に特化した英語カリキュラムを開発し、教材をデザインしてきた。当日は、カリキュラムやシラバス、教材、ワークシート(学生の作成したレシピ集など)を紹介する。