初年次である2019年度は、小学校の栄養教諭、大学の栄養士、イタリア人大学教員、カナダ人英語教員、韓国人大学教員に、ご自身がこれまで受けてこられた食育と、日本人と外国人の大学生がともに学ぶ食育の試みについて聞き取り調査を実施し、外国人の長期居住者が知らない日本語(調理器具や野菜の名前など)について、また、日本式の給食への意見などについて、伺うことができた。
多文化間教育の教材開発の事例研究として、多文化社会であるイギリス(異文化間コミュニケーション)とオーストラリア(CLIL)で世界各国の大学教員と一緒に教材とプログラム開発をするワークショップに参加して、実際に作成した教材をもとに、模擬授業をした。2021年度の日本での大学生と留学生向けのセミナーでは、栄養学と調理学の教員と連携しながら、これらのワークショップで習得したことを実践し、参加者を対象に調査する予定である。成果報告として、観光九州アカデミア第14回研究会において、「九州・沖縄の郷土料理の日英教材:食のグローカル人材育成を目指して」を報告した。(2019,8)
また、日本人学生対象の食育のCLILについては、現在、栄養士養成校である中村学園大学で1年生後期(実用栄養英語A)で「和食」、2年生後期(実用栄養英語B)で「世界の食文化」を実施中である。これらの実践報告として、「世界の食文化のCLIL」については、“Developing CLIL Program for Japanese Food Culture”として “Trends in Language Teaching”(2020,1)で学会発表をし、参加者と意見交換することができた。「和食のCLIL」については「CLILで学ぶ世界の食文化―食のグローバル人材育成のために―」として、J-CLIL Newsletterに投稿した(受理済み、2020年6月出版予定)。