小学6年生が自己の学習状態及び学習目標や使用可能な学習時間を同時に考慮に入れて自己の学習活動をどのように調節するかを検討するために,学習目標(難易)と学習時間(長短)によって4つの学習場面を設定し,学習状態の自己評定値とその後の学習活動(項目選択と時間配分)との連関分析を行った。その結果,全ての学習場面で学習状態が悪いと判断した項目を重点的に学習しており,被験者は外的に付与された場面特性に依拠するのではなく,自己の内的基準である学習状態に基づいて学習活動を調節していた.しかし,学習目標の達成が難しく使用可能な時間が長い学習場面では,学習状態の最も悪い項目群よりも学習が少し進んでいる項目群(学習の最近接領域)に多くの時間を配分していた.これらの結果から,小学6年生は外的に付与された学習場面の特性をもある程度は考慮に入れて学習活動を自己調節することが示唆された.