本研究課題は、幼児宅配給食の残食の実態を科学的に明らかにし、残食に主眼をおいた食育介入の検討を通して、幼児の適切な食のあり方を提言し、幼稚園における幼児給食の残食を減らすための食育の確立を目指すものである。
平成29年度の2園の研究連携幼稚園(478名)を対象に実施したベースライン残食調査において、幼児の年齢に関わらず同じ量の給食が提供されており、年少児の残食量は年中児および年長児に比較して高値であることが判明した。また、野菜を含むメニューの残食が多いことが分かった。平成30年度は、2園の研究連携幼稚園を食育介入する園(介入園)と、介入しない園(コントロール園)にわけ、介入園の年中児(100名)を対象に研究を実施した。具体的には、①命をいただくことに感謝②作ってくれた人に感謝③育ててくれた人に感謝④自分で考えながら食べることができる⑤自分の現状を知る⑥命をつなぐの6項目のテーマをねらいとし、ベースライン時における残食調査で明らかになった残食の多い食材(ピーマンなどの野菜)を考慮した計画を立案し、オリジナルペープサート(計7回)、クッキング、野菜栽培を実施した。また、ベースライン調査から1年後のエンドライン残食調査も実施し、すでに全てのデータを回収している状況である。現在、収集したデータの入力と整理を行っており、今後は残食や食行動の変化などをアウトカムとして、介入園とコントロール園の違い、学年別の違いなどについて解析を行う予定である。