今年度、否が応にも遠隔授業を実施することになり、実技を通して専門的事項を教授し てきた領域「表現」の担当者の誰もが非常に戸惑った。何をどのように伝えるべきか、シ ラバスも全面的に見直しながら手探りで始めた授業ではあったが、それは、我々自身が、 教授すべき専門的知識、技術とは何かを考え直す機会になったのではないか。 そこで本発表では、特別研究指定部会領域「表現」のメンバーが、シラバスの見直しや 授業の流れ、学生の成果物といった事例を紹介するとともに、それぞれの授業を「遠隔授 業での気づき・工夫・成果」と「遠隔授業での苦悩・限界」の視点で振り返る。その事例 検討により、領域「表現」の講義で伝えるべき「保育者の実践力」について考察し、単な る「知識や技術」の伝達・教授を超えて、保育者に求められる教養等に裏付けられた「実 践力」を養成する保育者養成教育についての問題提起を行いたい。