マラリア感染症の防除法について,基礎的な空間動態を調べるため,格子モデルを用いたシミュレーションを行った。解析には個体群生態学で使われるPrey-Predatorモデルを用い,結果から防除方法による汚染地域の変化について検討を行った。マラリア汚染地域のみでの防除活動は,状況によっては汚染地域の拡大をもたらす可能性があることが判明した。さらに,汚染が無い地域での蚊の根絶は,汚染地域での根絶を伴わなくても汚染地域の縮小をもたらすことが明らかになった。このことから,マラリア感染系の空間構造においては非感染地域での蚊の根絶活動が極めて重要であることが判明した。