著者達は大学の授業において、E-LearningシステムであるMoodle(ムードル)を、情報処理関係や多くの授業で利用し、その有効性を確認している。この様なE-Learningシステムは、今後前述の環境整備に伴い、中学校・小学校へも徐々に導入が進むと考えられる。この際、最も大きな問題になるのが、学習コンテンツの内容である。学習コンテンツの作成にあたっては、学習者の学習意欲を高める工夫だけではなく、学習者の苦手な分野・領域を把握しサポートする必要がある。
また、著者達は、過去に小学校や大学において、色彩に関する研究をおこなった。研究の過程で、主観的ではあるが、児童・生徒の色彩に関する知識の不足を感じた。さらに、参考文献5)においては、色彩の嗜好と、その色彩の識別力(精度)にはほとんど相関が無い事を示した。この様に、色彩における自分の能力に対する自己認識と、実際の能力に差がある事も判明した。
そこで、本論文では、色彩学習コンテンツを実際に試作し、Moodleをベースにした色彩学習システムの可能性を検証する。また、大学1年生に対して、試作した色彩学習コンテンツによる実験をおこない、高等学校における芸術の選択科目(美術・音楽・書道等)の違いによる、色彩の知識や自己認識等の調査をおこなった。