近年,デジタルカメラ等の普及により,情景(自然)画像から文字領域等の特徴抽出技術が必要とされている.しかし,背景が比較的単純な文書画像からの文字抽出に比べ,背景が複雑な情景画像からの文字抽出は非常に困難である.これに対し人間は,複雑な背景が存在する情景画像から,高精度に文字列領域を抽出する事が可能である.そこで,人間の視覚処理系を模倣し,情景画像からの文字列領域の抽出に適用する事で,高精度に文字列領域を抽出が実現出来るものと思われる. 本論文では,人間の視覚処理系を模倣し,拡張心理的ポテンシャルを用いて情景画像から文字列等を抽出する手法を提案する.従来の心理的ポテンシャルの手法では,カラー情景
画像等の多値画像に適用するのが,難しいという問題点があった.そこで,本論文では,心理的ポテンシャルの手法を,カラー情景画像等の多値画像に,適用出来る様に拡張した,拡張心理的ポテンシャルの手法を新たに提案した.この拡張心理的ポテンシャルの手法は,遮蔽の効果を画素の値とその距離に応じて適用する事によって,より人間の視覚処理系に近い,処理結果が得られる事が分かった.