地図など、複雑な背景の中に埋もれて散在する任意の定形文字を切り出すのには、文字位置の予測、背景との区別、文字の欠損や背景との接触等解決しなければならない難問が多く、有効な一般的手法はほとんど報告されていない。本文では、任意の線図形を対象とした従来のMerilin?Farber?Hough変換法を改菩し、上記の諸問題を克服する方法を提案した。すなわち、(1)テンプレートとしてr文字枠図形を採用し、従来文字ごとに多数必要であったテンプレート数を、同一ポイント数の文字についてはただ一つだけで、すべての文字が切り出ぜるようにして高速切り出しを可能にするとともに、(2)投票方法を画素単位から画素集合単位に行うように改善して投票処理を高速化し、さらに、(3)投票結果から文字中心点を抽出する方法を考案して文字侯補数を絞り込んだ。本方法ではテンプレートと原画像との適合度(黒画素密度)を抽出基準とする点は従来のMF法を踏襲しているので、背景との接触等にも強いという特徴は保存されている。本方法を用いて、14枚の地図画像に合まれる310個の文字の切り出し実験を行った結果、文字侯補数を全画素数の1%弱に絞り込んだとき、抽出成功率92%を得、本方法の有効性を確かめた。な右、文字侯補の数と抽出成功率のバランスをとることが必要であり、そのための適切な摘出パラメータ値の選定の目安も明らかにした。