カメラ等で被写体を撮影する場合,被写界深度の浅い(ピントの合う範囲が狭い)画像の方が,立体感が豊かであると感じる場合がある.本論文では,人間のこの様な感性が生じる要因の1つとして,視覚情報処理の過程において,意識に関係した擬似的な被写界深度が存在し,立体感を得る情報の1つである可能性を実験により検証する.実験の結果,人間はカメラ等にも存在する被写界深度が,擬似的に存在する事が分かった.また,人間は着目点への集中等の意識の度合いによって,擬似的な被写界深度が変化し,カメラ等とは違う選択的な被写界深度が存在する事も分かった.