人間は,形を記憶した場合,形の特徴により,実際の形の大きさと異なる事が分かっている.また,色を記憶した場合,実際の色とは異なる事が知られている.本論文では,これらの点に関して実験をおこない,その精度の調査をおこなう.実験の結果,形の記憶に関しては,全ての形に対して,実際より大きく記憶される傾向が見られた.また,頂点が多い,形の特徴の図形程,実際の大きさと記憶される大きさの誤差が少なくなる傾向が見られた.形や色に関して,嗜好(好み)が形や色の精度に影響を与えているという相関は見られなかった.しかし,実際には,人間の嗜好(好み)が高い形や色において,高い精度が見られる場合がある.この現象は,学習や経験等のより高次の認識領域において,実現されていると推測される.