福岡県は、4月7日の緊急事態宣言後、テレワーク実施率が急速に高まった地域の一つである。今後、地方においてもテレワーク活用が進む可能性がある。そこで、本研究は特に福岡市に着目し、コロナ禍前とコロナ禍における中小企業のテレワークの動向について分析を行った。コロナ禍以前は、主に人材確保のためのテレワークの導入事例が見られた。また、福岡市の主要産業である「卸売業,小売業」や「サービス業」のように、一般的にテレワークを実施しづらい業種では、可能な業務や役職からテレワークが導入されていることがわかった。コロナ禍では、新たな経営上の対策としてテレワークを実施した中小企業も少なくない。「福岡市テレワーク促進事業」のように、その地域の企業の現状に即した支援策が、テレワーク導入を後押しし得ることがわかった。