ヒストン上での翻訳後の修飾によるクロマチン高次構造の調節機構を解明するため、ヒストンH3上のセリン10(H3S10ph)のリン酸化がクロマチン凝縮に及ぼす影響を調べた。ヒストンH3のセリン10をアスパラギン酸に置換したヒト遺伝子組み換えヒストン(H3S10D)を構築した。分析超遠心分離沈降速度分析および透過電子顕微鏡観察を用いて試験管内のin vitroの条件で再構築されたH3S10Dを含むヌクレオソームアレイを解析した結果、野生型のH3とアミノ酸置換型のH3S10D間でフォールディングおよび凝縮に有意差がないことが分かった。以上から、セリン10でのヒストンH3のリン酸化はクロマチン凝縮において直接的な役割は果たさないことが示唆された。