電子掲示板上でのディスカッションについて、発言者間に形成される応答関係のネットワークに関する分析を行った。分析の結果、各発言者の、「クラスター係数」と「媒介中心性」というネットワーク構造上での特性量の分布が、「スケールフリー性」と呼ばれる数理的な特徴に近い性質を持つことを確認した。また、他の研究グループが行ったディスカッションデータの質的分析との比較により、分析に用いた発言者の特性量の大小と、発言者によるメッセージ執筆の熟達度の間に対応が見られることが明らかになった。これは、学習の場でのコミュニケーションにおいて、論点や問題点がよく整理された発言が、他者の発言を誘発することによってコミュニケーションを活発にする様子を反映するものであると考えられ、学習の場において個人の局所的な発話と学習者集団全体におけるコミュニケーションのあり方の接点を示すものといえる。
また、ブレンディッド授業と協調学習