本研究の目的は, 距離調節を課題とした跳躍の発達的特徴を明らかにすることであった。4歳から6歳までの男児を対象に, 各被検者の最大跳躍距離を基準とした40%, 60%, 80%の目標距離を跳躍させ, そこに生じた誤差距離をもとに距離調節の正確性を年齢, 最大跳躍距離または最大跳躍動作様式の観点から検討した。結果を要約すると, 以下のとおりであった。
(1) 距離調節の正確性は, 4歳から5歳にかけて急速な発達を示した。
(2) 5歳児の距離調節の正確性は, 目標距離の長短に左右されていた。80%の目標距離に対する距離調節は40%また60%の目標距離に比べて正確性に劣っていた。
(3) 6歳児の距離調節の正確性は, 目標距離の長短を問わず比較的安定していた。
(4) 最大跳躍距離のレベルからは, 距離調節の正確性は80cmを境に急速な発達を示すとみられた。
(5) 80%の目標距離に対する距離調節では, 最大跳躍距離が能力が高いほど正確性は優れていた。
(6) 最大跳躍距離が100cm未満のレベルでは, 距離調節の正確性は目標距離の長短に左右されていた。80%の目標距離に対する距離調節は40%または60%の目標距離に比べて正確性に劣っていた。
(7) 最大跳躍距離が100cm以上のレベルでは, 距離調節の正確性は目標距離の長短を問わず安定していた。
(8) 40%また60%の目標距離に対する距離調節では, 動作様式の発達レベル間に正確性の差異はみられなかったが, さらに検討の余地がある。
(9) 動作様式の発達レベル「1-2点」群と「3点」群では, 距離調節の正確性は目標距離の長短に左右されていた。80%の目標距離に対する距離調節は40%また60%の目標距離に比べて正確性に劣っていた。