「Traces of Gaze」は作品「Intersection of Multi-Dimensions(多次元交差)」、「Reacting Illusion(呼応する幻想)」、「Targets with Heart Beating(鼓動するターゲット)」で構成された個展である。
居住していたNewton Towers Apartmentの2部屋を暫定的にギャラリーとして作品を設置することにし、3点の作品を制作した。「多次元交差」は、バックミンスター・フラーの発明によるテンセグリティーの構造を基本に正二十面体の稜線を引張材のロープで作り、6本の圧縮材を延長した材木のフレームと組み合わせて部屋一杯のオブジェとしたものである。「呼応する幻想」は正二十面体の半分を形作り、鏡面に配置することで、視覚的に一つの正二十面体が現れるようにしたもので、線材の角材には反射材のシートが貼られているため、光を反射する性質を持っている作品である。「鼓動するターゲット」は社会問題化している銃による事件事故が多発しているアメリカの現状から着想したもので、老若男女、実在架空の様々な人のシルエットの形のターゲットの心臓部分がオプティカルなイリュージョンによって明滅(=鼓動)しているという作品である。銃口を向ける相手が自分にとって大切な人だったとしたら引き金を引くことを躊躇するのではないか、という仮定がコンセプトである。