目的 内容やタイミングも含めた朝食習慣と,保育園児の睡眠習慣や生活リズム,育児での困りごとになる行動・心身の不調との関連について検討した。
方法 2018年1月から2月に,保育園15園の園児とその保護者を対象に質問紙調査を実施して回答を得た (回収率68.5%)。質問紙には,Torsval&Åkerstedt (1980) 版朝型・夜型質問紙およびその乳幼児用改変版,食習慣,育児での困りごとになる幼児の行動や心身の不調に関する項目を含んだ。解析には,4-6歳児833名 (男417名,女416名) とその母親のデータを用いた。
結果 毎日朝食を摂取する子どもは98.9%であったが,毎日定時に朝食を摂る子どもは63.5%,主食・主菜・副菜を揃えた栄養バランスの良い朝食を毎日摂る子どもは28.6%であった。良好な朝食習慣 (毎日定時に主食・主菜・副菜の揃った食事を摂る) をもつ子どもは22.2%で,そうでない子どもより,就寝時刻,起床時刻とも早かった他,その母親の起床時刻も早く,母子ともに朝型のリズムを示した。また,朝食習慣が良好な子どもでは,「いらいらする (機嫌が悪い)」,「気分にムラがある」,「食欲がない」,「便秘をする」,「朝,なかなか起きない」などの行動や不調がないものが多かった。
結論 良好な朝食習慣は,子どもの朝型の生活リズムをもたらし,育児における困りごとを減少させる可能性が示唆された。また,保護者の生活の夜型化は,単品摂取の増加や時刻の不規則など朝食習慣の問題と関連することが示された。今後,保育園児の朝食の食育では規則的な摂取や朝食内容の向上に取り組むとともに,保護者自身の夜型化を是正することが必要である。