食料品の買い物における不便や苦労の要因を,住民意識調査により得られたデータを用いて分析した.食料品の買い物における不便や苦労に最も大きな影響を及ぼしているのは,店舗までの時間,距離といった空間条件および交通手段であり,特に,距離は高齢者にとって大きな障害になる.一方,自動車の利用は不便や苦労を大きく軽減する.概して高齢者の方が不便や苦労は大きい.これらの結果は,対策が必要な集団を統計的に把握する上で有用である.しかし,大都市郊外団地の例では,子育て世代も苦労していることなど,地域ごとにみると状況が異なる場合があることに留意する必要がある.