高齢2型糖尿病患者を対象として、食品摂取の多様性と運動機能を評価し、食品摂取の多様性スコアを用いた栄養指導と運動機能分析装置の結果に基づいた運動プログラムの指導を実施した。登録時と介入16週後の体組成、運動機能、血液生化学検査、栄養素摂取量を比較した結果、以下に示すことが明らかになった。
1. 体組成項目では筋肉内脂肪量を反映する筋質点数の改善を認め、運動機能では立ち上がり時におけるパワー、スピード、安定時間の改善を認めた。
2. 食品摂取多様性スコア(DVS)を用いた指導では、介入前の食品摂取の多様性が低い人ほど介入効果が高く、栄養素摂取量では、たんぱく質摂取量、たんぱく質エネルギー比率、ビタミンB1、ナイアシン当量の増加を認めた。
本研究の栄養および運動介入は、身体機能の向上に加えて食品摂取の多様性の向上による複数の栄養素摂取量の増加を認めており、これらの長期的かつ継続的な実施は、サルコペニアやフレイルを予防・改善につながることが期待される。糖尿病患者に限らず、高齢者において各個人の栄養状態や運動機能を詳細に評価して、安全で継続可能な栄養および運動に関する指導を行うことが今後ますます重要になってくるものと考えられる。