【目的】妊娠時に糖代謝異常を合併すると、周産期合併症を起こしや すくなるため、妊娠前に耐糖能異常(食後高血糖)を呈する者を抽 出し、血糖コントロールを改善することが重要である。グリコアル ブミン(GA)は、HbA1c と比較して、より短期間の血糖コントロー ル状態を反映する。本研究では、若年女性の食後高血糖と GA および HbA1c の関連について比較検討する。
【方法】 本学女子学生 70 名(平均年齢 19 歳、平均 BMI 20.5)を対象に、糖 代謝指標(GA、HbA1c)と、75g 経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT) の糖負荷後血糖値及び、血液生化学検査データとの関連について検 討した。統計解析は、IBM SPSS Statistics ver.27 を使用し、有意 水準は 0.05 とした。
【結果】 対象者 70 名中 25 名(35%)が、75gOGTT の負荷後2時間値において 境界型を示した。GA と負荷後血糖値の相関を調べたところ、空腹 時血糖値(r=0.270 , p=0.024)および負荷後 30 分値 (r=0.279 , p=0.019) が有意な正の相関を認めた。また、GA は、血小板 (r= − 0.307 , p=0.010)、アポ蛋白 -B(r= − 0.288 , p=0.016)、LDL-C(r= − 0.323 , p=0.006) が有意な負の相関を認めた。GA を従属変数として重回 帰分析を行った結果、負荷後 30 分の血糖値(β =0.218 , p=0.047) が有意な因子として抽出された。一方、HbA1c は負荷後 60 分の血糖 値のみ有意な正の相関 (r=0.292 , p=0.014) を認めた。
【結論】 本研究では、GAは糖負荷後 30分の血糖値と相関を認めたのに対して、 HbA1c は糖負荷後 60 分の血糖値と相関を認めた。若年女性において GA は HbA1c と比較して、食後の急激な血糖値上昇を反映する可能性 が示唆された。