本年度は、研究の最終年度として、並列自然言語処理システムを構築する上での問題点を明らかにするとともに、次期バ-ジョンシステム構築に向けての基本検討を行うことを目的として、次のことを行った。1.格フレ-ムから生成された有限状態オ-トマトンを予測情報として利用する並列構文解析法の開発約1000の格フレ-ム規則数から、格要素や動詞に関するトップダウンの制約情報を与える有限オ-トマトンを生成し、それを利用して並列に解析を行う並列構文解析法の提案を行った。2.格フレ-ム要素の自動獲得法の開発1.で述べた有限オ-トマトンを生成するために利用した格フレ-ム規則は、意味素性の数が少なく、解析を行うには抽象的過ぎたため、実際の例文から格フレ-ム規則を自動的に獲得する方法の開発を行った。実際の例文では、格の省略が多いことや、必須格、任意格をどう扱うかという問題があるため、一度に格フレ-ム全体を獲得する事はやめ、他動詞の場合には、2つの格要素を持つような格フレ-ムの部分要素(格フレ-ム要素と呼ぶ)を獲得することとした。これでは、既存の電子化辞書を利用して、文の類似度計算を行うことで、同じ動詞の語義をもつ文の集合を構成する。そして、生成された文の集合に、動詞の格要素の格ラベルならびに、動詞の語義ラベルを付加し、格要素を獲得する。実験では、20個の動詞を選び、各動詞について、既存の格フレ-ムの説明のた...