明治期清酒醸造業の問屋制家内工業的簿記-実践醸造簿記新書』(1903)から見る酒造経営の記録-
土井貴之
明治36(1903)年に出版された曽根純の『実践醸造簿記新書』)を用いて,明治期の清酒醸造業を対象にした工業簿記の構造と当時の社会経済的な背景を明らかにした。たしかに,建部(2003)の「問屋制家内工業 (工業簿記の第1段階)」で,岡本(2000)の商的工業会計も丼勘定のように見える。しかし,現在の補助簿に相当する清酒醸造業固有の帳簿を用いて詳細に管理されていた点を指摘したうえで,工業簿記の発展過程を考察した。
流通科学研究
中村学園大学流通科学部