これまで姿勢研究において脊柱の彎曲を計測する手法が提案されてきた。本研究では光学式モーションキャプチャシステムを用いて矢状面での脊柱の彎曲を計測する手法を開発することを目的とし、従来法との比較をおこなった。FRP樹脂製男性型マネキンの背部の彎曲を、従来法である脊椎弧測定用スライディングゲージを用いた方法と、光学式モーションキャプチャシステムを用いた方法で測定した。両計測法において、マネキンの背面中心の線(脊柱が想定されるライン:以下「脊柱ライン」)を第7頸椎が想定される突起点から鉛直下に550mm(腰仙関節)の位置までを5mm間隔で計測点とした。スライディングゲージの手法で得られた3回計測の平均値から背部の彎曲を算出した(B:基準値)。モーションキャプチャで10回計測したデータ(MC)を基に、基準値からの誤差(MC - B)の平均と各計測点でのMCのばらつき(偏差)の程度を、標本抽出数を1~10個で変化させた各1000回のブーツストラップ反復によって推定した。基準値からの誤差(MC - B)は平均で1.70~1.73mmの範囲であった。各計測点でのMCのばらつきは1.2mm程度であり、これは標本が4つ以上になるとほぼ収束することが確認された。