【目的】管理栄養士養成課程の初年次学生に対して,管理栄養士としての将来像を明確化することに重点を置いた導入教育を実施し,導入教育の有効性の検証を行うことを目的とした。
【方法】対象はN大学栄養科学科に入学し,授業を受講した学生214名。初年次前期に90分3回,180分1回の計4回実施した。受講前後に目標設定や養成課程における学修の意義の理解,管理栄養士としての就労意欲,目標に対しての努力の実行度などを含む計17項目のアンケートを実施し教育効果を評価した。
【結果】すべての教育効果評価項目の受講後の得点は受講前得点よりも有意に高かった。受講初日の将来への目標設定段階の違いにより,向上する教育効果が異なり,進路希望先はあるもののその理由の記述がなかった場合,受講により管理栄養士としての就労意欲が高まった。卒後のビジョンの記述がない場合,受講により管理栄養士資格取得意欲が高まった。対して進路希望理由が明確な場合,および希望する動機付け経験がある場合は,目標に対して実際に努力するという教育効果が向上した。
【結論】将来像を明確にすることを主眼とした管理栄養士養成課程初年次学生に対する導入教育としての本プログラムは,受講により教育効果が向上するものであり,さまざまな将来への目標設定段階に対応する教育内容であった。さらなる教育内容の改善が必要ではあるものの,総合的に管理栄養士を目指す気持ちを育む教育の効果があると評価できた。