医療の高度化に伴い看護師に求められる知識も高度化、多様化している。そのため看護基礎教育では膨大な学習を看護学生に課し質の向上を図っているが、新人看護師の実践能力と臨床現場が期待する能力には乖離が生じている。このことから文部科学省(2017)は「看護学教育モデル・コア・カリキュラム」をまとめ、看護基礎教育における「創造的思考力の醸成」の重要性を示した。しかし具体的な育成方法は示されず、確立していない。本研究では、看護学生の創造的思考力の育成を目指した教育方法の開発を進めることが看護基礎教育に求められている課題であると考え、看護基礎教育に適した創造的思考力の育成方法を「看図アプローチ」を基盤に開発し、有用性を検討した。開発した教材・授業案は「子どもの吸入時の看護技術の提案」である。その結果、教材と発問の組み合わせによって探索活動が活発となり、創造的発見が誘発されることが確認できた。さらに、それは学習者個々の特性にかかわらず創造的思考力に等しく貢献できる可能性があることが示唆された。看護技術の提案課題では、小児看護の経験のない学習者が実践的な看護技術を提案でき、開発した教材・授業プログラムが創造的思考力の育成を可能とすることを実証する結果が得られた。