深い学びには、授業の事前・事後に適切な方略を用いて学習することが必要であり、授業で説明を一度聞くだけ、本を一度読むだけではその内容は理解できない。大学設置基準では、学生が事前・事後にかなりの時間をかけることを前提に到達目標をさだめ授業を行うように規定されている。それは看護基礎教育も例外ではないが、誰もが意欲的に事前・事後学習に取り組めるというわけではない。動機づけを促進するための方法として「看図アプローチ」がある。看図アプローチは「みること」を重視した授業づくりの方法である。そこで、本研究では看護学生の動機づけを促進し、かつ事前課題に精緻化方略を用いて取り組むことができるよう、小児看護学領域の中でも特に医学的知識の獲得が重要視される「疾病論」の授業に「看図アプローチ」を活用し授業実践を行いその有用性を検討する。看護専門学校1年生51名を対象に、小児科医とオムニバス形式の教科目である「発達と疾病論」で実践した。結果として、「きゅうちゃん」ワークシートには、染色体異常や循環器疾患の病態生理、感染症の症状と潜伏期間等さまざまな説明文が記述されていた。学習者は配布された「きゅうちゃん」を解釈するために教科書を精読し、病態生理を「きゅうちゃん」というキャラクターでイメージすることができており、精緻化方略の活用を促進することができたと考える。さらに、小児科医への質問内容については、小児科医でも即答できないほど専門的知識を必要とする質問もあり、授業時間内での事前学習にとどまらない学習ができていた。